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【2】縁のなかった古民家録〜その1〜

「縁のなかった古民家録①」アイキャッチ画像

古民家を探していた当時、ネットに出ている物件を片っ端から見ては、「これはもしかして」と思ったり、「いやこれは違うな」と思ったりしていました。

今回まとめた物件たちは、結果的には購入に至らなかったものばかりですが、どれも真剣に検討していた物件です。

なお、掲載の順番は実際に見た順ではなく、記憶を掘り起こした順番になっています。

ちなみにこの中には、いったん見送ったあとで最終的に購入した物件も含まれています。

目次

物件①

基本情報

  • X県O市
  • 土地面積:約400坪
  • 建物面積:約70坪
  • 築年数:昭和初期(推定)
  • 構造:総欅造り/石場建て/瓦屋根
  • 付属建物:離れ/損傷の大きい蔵
  • 販売価格:当初1,000万円 → 最終的に400万円
  • 掲載形態:空き家バンク

売主情報

  • 遠方在住。管理は近隣の親戚に委託
  • 問い合わせ後、新幹線で内覧に同行してくれるほど熱心
  • 家への思い入れが強く、「残してくれるなら嬉しい」と話していた
  • 本当は自分たちで管理をし続けたかったが限界が来たため、空き家バンクへの掲載を行った

建物の状態

  • 雨漏りあり。屋根は全面葺き替えが必要
  • 床が一部抜けており、窓割れからツタが侵入
  • トイレ・風呂は潰れて無い状態だった
  • 庭は荒れ放題だが、池付きの日本庭園あり
  • 敷地は塀で囲まれており、塀を壊さないと工事車両や自家用車が入れない
  • 家の前の道幅も狭めで工事時に追加費用の懸念あり

立地・環境

  • 市街地からやや離れているが、生活圏としては許容範囲内
  • 小学校が近くにあるが、生徒数は少なく将来的に廃校の懸念あり
  • 都市ガス対応
  • 隣家(親戚)と塀を共有しており、将来的なトラブルの懸念あり

ライフライン

  • ガス:都市ガス
  • 下水道:あり

判断基準との照合

  • 【石場建て】→ ◎
  • 【広い土地】→ △
    • 土地は広いが起伏があったり日本庭園になっていたりと使いにくい
    • 車も入らず利便性は低い
  • 【田舎すぎない】→ △
    • O市自体がそこまで魅了的な市ではない
  • 【太い梁・大黒柱】→ ◯
    • 総欅造りで良い木材が使われている
    • 梁や大黒柱は確認できていないが、建物の規模的に私自身が得できるものが使われていると予想される
  • 【周辺環境のリアルさ】→ △
    • 学校が先細りの可能性
    • 隣の家が親戚と言うのはメリットデメリットどちらも考えられるが、この時点ではデメリットと考えていた。
  • 【現実的な再生性】→ ×
    • 修繕プランが見えず。損傷多数

見送り理由

  • 探し始めて最初に見た物件で、判断基準や目利きが育っていなかった
  • 建物の素材は申し分なかったが、損傷箇所が多く修繕プランが立たなかった
  • 建物の規模も大きく、維持と修繕に不安があった
  • 隣家との塀共有や道幅の狭さなど、構造的にも手がかかりそうだった
  • 同行した古民家専門工務店のスタッフからも「やめておいた方が良い」とアドバイスを受けた

物件

基本情報

  • 場所:X県O市
  • 土地面積:約400坪
  • 建物面積:約60坪(推定)
  • 築年数:約150年(推定)
  • 構造:かやぶき屋根+トタン/石場建て/瓦屋根
  • 付属建物:蔵あり(その後リノベーション)
  • 販売価格:500万円
  • 掲載形態:地元密着の不動産会社がネット掲載

売主情報

  • 居住中の高齢の方。不動産会社を通じて売却を検討
  • 本人とは内覧時には会えておらず、直接のコミュニケーションはなし
  • 結果的に、売却に対してご家族が強く反対し、販売取りやめ

建物の状態

  • 雨漏りなし
  • 太い梁や大黒柱あり。土間+和室3間の典型的な田の字間取り
  • 管理が行き届いており、内部も比較的良好
  • 土地の中央に家があり、南側に日本庭園風の庭ありやや手入れの手間はかかりそう
  • 北側には平坦な庭が広がっている

立地・環境

  • 中心地からやや離れたエリア
  • 学校・スーパーなどは徒歩圏内ではなく、車移動が基本

ライフライン

  • ガス:プロパン
  • 下水道:浄化槽

判断基準との照合

  • 【石場建て】→ ◎
  • 【広い土地】→ ◯
    • 平坦な土地で使いやすいが南側が広がっている方が良かった
  • 【田舎すぎない】→ △
    • 中心地からやや離れているが生活圏内
    • O市自体がそこまで魅了的な市ではない
  • 【太い梁・大黒柱】→ ◎
  • 【周辺環境のリアルさ】→ △
    • 車は必須で生活利便性はやや低い
  • 【現実的な再生性】→ ◎
    • 状態は良好で構造も明瞭

見送り理由

  • 好印象だったが、売却価格に対して売主のご家族が激怒し、販売取りやめに
  • 価格に対する建物の質は高く、かなり良物件だった印象
  • 結果として見送りになったが、数年後にその建物がカフェにリノベーションされていた

備考・後日談

  • 数年後、ネット記事でカフェになったことを知る

物件

基本情報

  • 場所:Y県H市
  • 土地面積:約300坪
  • 建物面積:不明(物件A・Bより小ぶり)
  • 築年数:不明(昭和中期頃と推定)
  • 構造:瓦屋根/布基礎
  • 付属建物:倉庫兼車庫
  • 販売価格:600〜700万円程度(記憶ベース)
  • 掲載形態:アットホームでネット掲載

売主情報

  • 丁寧に管理していた持ち主。売主本人が内覧に同行
  • 応対は丁寧で、建物に対する誇りや愛着がうかがえた

建物の状態

  • 状態は非常に良好。庭・屋内ともに清掃が行き届いていた
  • 大黒柱は太く、差し鴨居も大きめ。針も確認できた
  • 一般的な田の字型の間取り
  • 南側が大きく開けており、陽当たり良好
  • 庭自体も適度にコンクリで舗装されている
  • 地面は平坦で扱いやすく、全体的に整っていた

立地・環境

  • 中心地からはやや離れた位置だが、極端な田舎ではない
  • 家の前の道路がやや狭い(車1台分程度)
  • 学校やスーパーなどは少し遠い
  • X県が第一希望なので優先順位としては低め

ライフライン

  • ガス:プロパン
  • 下水道:浄化槽

判断基準との照合

  • 【石場建て】→ ×
    • アットホームの写真ではわからなかったが見に行ってみたら布基礎だった
  • 【広い土地】→ ◎
    • 土地も広く使いやすい
  • 【田舎すぎない】→ △
    • Y県でややマイナスだが生活圏内
  • 【太い梁・大黒柱】→ ◎
    • 立派な大黒柱と差し鴨居
  • 【周辺環境のリアルさ】→ △
    • 最低限の生活施設あり
  • 【現実的な再生性】→ ◎
    • 非常に状態が良く、管理も良好

見送り理由

  • 建物・立地ともに「かもなく不可もなく」で決定打に欠けた
  • 布基礎であったため、テンションが下がっていた面があった
  • 物件探し初期のタイミングだったため「もっと良いものがあるかも」という気持ちが強く、消極的な理由で見送り
  • Y県の時点で相当良い古民家でないと決められなかった

備考・後日談

  • 特になし

物件

基本情報

  • 場所:X県K市
  • 土地面積:約300坪
  • 建物面積:物件Cと同程度(詳細不明)
  • 築年数:不明(昭和中期頃と推定)
  • 構造:瓦屋根/布基礎
  • 付属建物:特になし
  • 販売価格:500万円
  • 掲載形態:アットホームでネット掲載

売主情報

  • 売主本人とは面会せず、不動産会社とやり取り
  • 売却を急いでいる様子だった
  • 詳細な人柄や建物への思い入れは不明

 建物の状態

  • 雨漏りあり。屋根修繕が必要
  • 大黒柱はやや細め
  • 梁はあるが、リフォームで見えにくくなっていた
  • 内部の状態はCと同等程度と記憶

立地・環境

  • 駐車場が敷地外にある(敷地内に車を入れられない)
  • 家の前の道路はやや狭い(工事車両の進入に難あり)
  • 南側には岩場が広がっているが、開けてはいない
  • 周辺に生活施設はある程度揃っていた

ライフライン

  • ガス:プロパン
  • 下水道:浄化槽

判断基準との照合

  • 【石場建て】→ ×
  • 【広い土地】→ △
    • 土地は広いが使いにくい
    • 敷地に車で入らないのも大きなマイナス
  • 【田舎すぎない】→ ○
    • K市の中でも中心部に位置している
  • 【太い梁・大黒柱】→ △
  • 【周辺環境のリアルさ】→ ◯
    • よく行く地域でありよくわかっている
  • 【現実的な再生性】→ △
    • 雨漏りあり、南側の岩場、駐車場の不便さ

見送り理由

  • 雨漏りがあり、屋根修繕が必要
  • 駐車場が敷地外で利便性に欠けた
  • 南側が岩場で視界が開けていなかった
  • 全体としてCと似た印象で候補から外れた

備考・後日談

  • 最終的に取り壊されて更地になっていました

物件

基本情報

  • 場所:X県M市:県庁所在地の端っこ
  • 土地面積:約400坪 + 畑200坪
  • 建物面積:約50坪
  • 築年数:明治元年築
  • 構造:石場建て/かやぶき屋根+トタン被せ/立派な梁と太い大黒柱
  • 付属建物:昭和末期築の離れ(平屋)で状態は良好、車庫(倉庫)
  • 販売価格:600万円
  • 掲載形態:アットホーム(※土地情報カテゴリ)

売主情報

  • 穏やかな人柄で、これまで丁寧に管理されていた
  • 建物にも強い思い入れがあり、現状維持のまま大切にしていた
  • 一部リフォーム歴あり(基本は昔のまま)
  • 管理は行き届いており、痛みはほとんど見られなかった

建物の状態

  • 入ってすぐの土間と、田の字型の和室構成
  • 建物配置は敷地北側、南側は大きく開けており日当たり良好
  • 敷地はほぼ平坦。庭は日本庭園ではなく、シンプルな草地
  • 畑は母屋のすぐ隣で管理しやすい位置
  • 雨漏り等の重大な損傷は特になし

立地・環境

  • 県庁所在地の市内(端エリア)
  • 周囲に生活インフラあり(スーパー・病院・商業施設等)
  • 小学校は徒歩圏内(やや距離あり)
  • 唯一の懸念は、近隣にやや生活上不都合な建物がある点

ライフライン

  • ガス:プロパン
  • 下水道:あり

判断基準との照合

  • 【石場建て】→ ◎
  • 【広い土地】→ ◎
    • 平坦な土地で畑もあるがすぐ隣にあり使いやすい
  • 【田舎すぎない】→ ◎
    • 県庁所在地
  • 【太い梁・大黒柱】→ ◎
  • 【周辺環境のリアルさ】→ ◎
  • 【現実的な再生性】→ ◎

見送り理由

  • 一度目の見学では、近隣にある“生活上不都合な建物”が気になり見送り
  • 当時は他の物件も見たい気持ちが強く、判断を保留

備考・後日談

  1. その後、他物件と比較した結果、この物件が最も理想に近かった
  2. 気になっていたが、いつのまにかネット上の掲載がなくなっており、不動産会社に確認すると売れてしまったと聞いて落胆
  3. その後、いつものように、不動産のサイトを見ていると復活しているの発見
  4. 運命を感じるが、「近隣にやや生活上不都合な建物がある点」が許容できるかどうかをパートナーと何度も話し合い
  5. 改めて交渉し、結果的にこの物件を購入

今のところ気にならない

まとめ

初期に見た物件たちは、いま見返すと「そりゃ無理だったよな」と思う反面、「でもこういうのもアリだったのかも」と思うこともあります。

当時は判断力も育っていなかったので、とにかく数を見て、自分の中の基準を作っていくような感覚でした。

まだまだ見てきた物件はありますので、続きは②にまとめていきます。

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