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【3】縁のなかった古民家録〜その2〜

「録のなかった古民家録②」アイキャッチ画像

前回に続き、購入には至らなかった古民家たちの記録を残していきます。

今回も時系列ではなく、思い出した順での整理になりますが、それぞれの物件に対して当時どんな視点で判断していたのかを、できるだけそのまま残すようにしています。

自分の判断基準や目線がどう変化していったのかを振り返るうえでも、こういった記録は意外と役に立つ気がします。

目次

物件

基本情報

  • 場所:Y県S市
  • 土地面積:約400坪
  • 建物面積:不明
  • 築年数:不明(外観や構造からかなり古いと推定)
  • 構造:石場建て(推定)/瓦屋根/太い柱と梁が外から確認できた
  • 付属建物:複数あり(状態は悪く、修繕は難しい)
  • 販売価格:約100万円
  • 掲載形態:知人からの紹介

売主情報

  • 詳細不明(内覧時にも面会なし)
  • 知人が空き家情報を提供
  • 管理状況はあまり良くなかった様子

建物の状態

  • 外観のみ確認(内部は未確認)
  • 外観はベニヤ板とサイディングでリフォームされていた
  • 柱や梁は外から見ても立派なものと判断できた
  • 敷地に高低差があり、地形はやや扱いにくい
  • 付属建物は複数あり、いずれも状態が悪い

立地・環境

  • 山の上にある物件
  • 敷地内も凸凹で高低差あり
  • 最寄りの大通りまで車で10分ほど下らないといけない位置
  • 学校・スーパーなどの生活インフラは近くに存在しない
  • 周辺は自給自足に近い生活スタイルの方が多い地域

ライフライン

  • ガス:不明(プロパンの可能性大)
  • 下水道:不明(浄化槽の可能性大)

判断基準との照合

  • 【石場建て】→ ◯(推定)
  • 【広い土地】→ ×
    • 土地は広いが使いにくい
  • 【田舎すぎない】→ ×
    • 山中、限界集落に近い
  • 【太い梁・大黒柱】→ ◯
    • 外観から確認なので傷んでいる可能性あり
  • 【周辺環境のリアルさ】→ ×
    • 生活インフラが整っていない
  • 【現実的な再生性】→ ×
    • 高低差・付属建物の状態・不明点多数

見送り理由

  • 知人からの紹介ということで一応見学したが、場所を聞いた時点で厳しいと判断していた
  • 山の上という立地や、インフラの乏しさから生活のイメージが湧かなかった
  • 建物の中も確認できず、付属建物も劣化が進んでおり、将来的な再生が現実的ではなかった

備考・後日談

  • この物件のように「古民家探してるんでしょ?」と善意で紹介されるケースは他にも多くあった
  • 条件が合わないものも多かったが、最初のうちは数を見て目を養う意味でも悪くなかった

物件

基本情報

  • 場所:X県K市
  • 土地面積:約300坪
  • 建物面積:約40坪
  • 築年数:不明(かやぶき屋根からみて100年以上と推定)
  • 構造:かやぶき屋根+トタン被せ/石場建て(推定)/太い梁と大黒柱あり
  • 付属建物:なし
  • 販売価格:650万
  • 掲載形態:空き家バンク

売主情報

  • 不明(内覧は不動産会社立ち合いのみ)
  • 売主の管理状況は不明(建物はやや傷みあり)

建物の状態

  • 太い梁と大黒柱がしっかり存在していた
  • 全体的に傷みはあるが、大きな損傷はなし
  • 南側に畑が広がる(他人所有だが、借りられる可能性あり)
  • 前面道路がかなり狭く、工事の際にはコスト増加が見込まれた

立地・環境

  • 周囲にスーパーや生活施設は少ないが、地域全体が車社会のため不便というわけではない
  • やや田舎寄りではあるが、山の中というほどでもない

ライフライン

  • ガス:プロパン
  • 下水道:浄化槽

判断基準との照合

  • 【石場建て】→ ◎
  • 【広い土地】→ ◯
    • 土地は広いが使いやすさ抜群という訳ではない
  • 【田舎すぎない】→ ○
    • やや田舎寄りではあるが、車社会の生活圏内
  • 【太い梁・大黒柱】→ ◎
  • 【周辺環境のリアルさ】→ △
    • 生活施設少なめ
    • 小学校もやや距離あり人数も少ない
  • 【現実的な再生性】→ ○
    • 工事しづらさはあるが、補助金もあり可能性はあった

見送り理由

  • 前面道路が非常に狭く、工事車両が入れずリノベ費用の増加が見込まれた
  • 建物の規模がやや小さめだったこともあり、理想とする暮らしのイメージには少し届かなかった

備考・後日談

  • 後日、この物件がリノベーションされて公開見学会が開催されていた
  • 実際に見に行ったところ、驚くほど綺麗に直されており、修繕への現実感が得られた
  • パートナーもその姿を見て安心してくれたという意味でも、非常に意義のある物件だった

物件

基本情報

  • 場所:X県K市
  • 土地面積:約300坪
  • 建物面積:約50坪
  • 築年数:大正時代(推定)
  • 構造:瓦屋根/石場建て/蔵・倉庫つき
  • 付属建物:蔵が2棟あり(いずれも立派)
  • 販売価格:当初1,000万円 → 最終的に200〜300万円まで値下がり
  • 掲載形態:空き家バンク

売主情報

  • 建物への愛着はあるが、高齢になり管理が難しくなっていた
  • 状態維持には力を入れていたが、売却希望も強くあった
  • 直接の対面なし(不動産会社を通じて対応)

建物の状態

  • 母屋は雨漏りなし、屋根は数年前に葺き替え済み
  • 建物の痛みは比較的少なく、全体的に良好な状態だった
  • 大黒柱の太さは記憶に残っていないが、建物規模から見て十分だった可能性あり
  • 前面道路が非常に狭く、軽自動車でやっと通れる幅
  • 敷地を塀で囲っており、工事車両を入れるには塀を一部解体する必要があった

立地・環境

  • K市の中でも中心部寄りのエリアで、利便性は高い
  • 生活施設(スーパー、病院、学校等)は周辺に揃っている
  • 都市部に近いながらも静けさが残る良い立地だった

ライフライン

  • ガス:プロパン
  • 下水道:浄化槽

判断基準との照合

  • 【石場建て】→ ◎
  • 【広い土地】→ ◯
  • 【田舎すぎない】→ ◯
  • 【太い梁・大黒柱】→ △
    • 詳細な記憶はないが、建物規模から見て十分な可能性
  • 【周辺環境のリアルさ】→ ◎
    • 生活に便利
  • 【現実的な再生性】→ ○
    • 道路の狭さ以外は状態良好で再生可能性高

見送り理由

  • 家の前の道が極端に狭く、工事車両の出入りが難しかった
  • 敷地内に車を入れるためには塀を壊す必要があり、追加コストが見込まれた
  • 一度は保留として様子を見ていたが、結果的に他者に購入された
  • 初期の売値(1,000万円)が高すぎたこともあり、踏ん切りがつかなかった

備考・後日談

  • その後、物件は200〜300万円まで大きく値下がり
  • 最終的には他の方に購入されていった

物件

基本情報

  • 場所:X県O市
  • 土地面積:約300坪
  • 建物面積:約60坪(母屋のみ)
  • 築年数:詳細不明(大正〜昭和初期と推定)
  • 構造:瓦屋根/石場建て(推定)
  • 付属建物:離れ、鉄骨車庫、小規模アパート様の建物あり(敷地内に点在)
  • 販売価格:500万円
  • 掲載形態:不動産会社紹介(アットホーム未掲載)

売主情報

  • 売主本人とは会っておらず、不動産会社経由での紹介
  • 状態の良さから愛着を持っていたと見られるが、詳細なヒアリングはしていない

建物の状態

  • 増築部分に雨漏りあり、母屋は良好で痛みも少ない
  • 土間に入ると立派な梁と非常に太い大黒柱が目に入る
  • 和室の意匠も上質で、全体的に格式の高い建物だったと考えられる
  • 敷地内は建物が広がっており、母屋の周囲に付属建物が点在する構成

立地・環境

  • 市街地中心部に位置し、駅からも比較的近い
  • 周辺にはスーパー、病院、学校など生活に必要な施設が揃っていた
  • 都市機能と古民家の融合が叶う、理想に近い立地だった

ライフライン

  • ガス:都市ガス
  • 下水道:あり

判断基準との照合

  • 【石場建て】→ ◎
  • 【広い土地】→ △
    • 土地自体は広いが増築している家部分やアパートもあり有効的に使用できる土地は意外と少ない
    • アパートを取り壊せば大きく開ける
  • 【田舎すぎない】→ ◯
    • O市ではあるが中心地
  • 【太い梁・大黒柱】→ ◎
    • 非常に立派な構造
  • 【周辺環境のリアルさ】→ ◎
    • 生活利便性◎
    • 駅近
  • 【現実的な再生性】→ ◯
    • 状態良好、構造しっかりしている
    • 増築部分やアパートの取り壊し費用が見当のつかない部分はある

見送り理由

  • 2番手の内覧者だったため購入不可に
  • 売主の事情ではなく、1番手がそのまま購入したため終了

備考・後日談

  • 後にネット記事でその家がカフェにリノベーションされたことを知る
  • やや心残りのある物件で、今でも印象に残っているひとつ

物件

基本情報

  • 場所:県Y(徳島県)
  • 土地面積:約200坪
  • 建物面積:約80坪
    • 今まで見た中で最大規模
    • 母屋に蔵や増築された離れが繋がっていた
  • 築年数:詳細不明(大正期またはそれ以前の可能性あり)
  • 構造:石場建て/瓦屋根
  • 付属建物:立派な蔵が2棟あり。母屋と蔵が敷地を囲むように配置
  • 販売価格:800万円
  • 掲載形態:空き家バンク

売主情報

  • 売主本人と内覧時に対面
  • 穏やかな人柄で、建物に強い愛着が感じられた
  • 高齢により管理に限界が来ており、売却を決断

建物の状態

  • 雨漏りについては都度補修しており、大きな痛みは見られなかった
  • 屋根の全面改修が必要とされ、補修見積もりで約1000万円との試算
  • 床に凹みがある箇所もあり、全面的な修繕が前提
  • 柱は大黒柱が2本ある構造。梁も立派で全体的に風格のある造り

立地・環境

  • 市街地中心部に位置しており、周辺環境は良好
  • 学校、スーパー、病院など生活インフラは整っていた
  • 家の前の道路は広く、車のすれ違いは可能だったが交通量は多い
  • 敷地内に車を入れるスペースがなく、建物の一部を解体しないと難しい構造だった

ライフライン

  • ガス:プロパンガス
  • 下水道:浄化槽

判断基準との照合

  • 【石場建て】→ ◎
  • 【広い土地】→ △
    • 母屋・蔵合わせて広大ではあるが今までの古民家基準からすると小さめ
  • 【田舎すぎない】→ ◯
    • 中心地ではあるがY県である
  • 【太い梁・大黒柱】→ ◎
    • 大黒柱2本の構造はこの家以外に見たことない
    • 使われている木材も非常に立派で節もなく綺麗であった
  • 【周辺環境のリアルさ】→ ◎
    • 中心地だけあって生活利便性も良い
  • 【現実的な再生性】→ ×(屋根修繕に1000万円以上、全体的に規模が大きすぎて費用面で困難)

見送り理由

  • 屋根全面改修に多額の費用がかかるため断念
  • 不動産会社および古民家再生協会とは別の工務店と現地同行し、修繕難度が高いと判断された
  • 古民家としての完成度は高かったが、予算的に現実的ではなかった
  • また、県Yの物件だったため、優先度の面でも県Xの物件よりは下がった

備考・後日談

  • 非常に惜しい物件のひとつとして記憶に残っている
  • 木材や構造的にも文句なしの物件だったが、やはり予算と再生のバランスは重要だと再認識した

まとめ

以上で、「縁のなかった古民家録」の記録は一旦締めになります。

実際にはもう少し見に行った物件もありますが、あまり数が多くなってもキリがないので、今回はここまでにしておきます。

これ以降、見に行った古民家を個別に記事にする予定は特にありませんが、自分の中ではひとつの区切りとして残しておきたかった記録です。

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