古民家に住み始めると、まず直面するのが「土地の広さ」という贅沢な悩みですね。
今日も子供たちが庭で遊んでいるのを何となく見ているときに、ふと「いややっぱ広すぎるな」と思ったわけです。なんせ本当に油断すると見失います。
そんな庭も以前、思い切って業者さんにお願いをして、伸び放題だった庭を一度更地にしていただきました。そのおかげで存分に遊べているわけですが。
重機が入って、あっという間に茶色い平原になった我が家の庭。その時は「よし、ここからカフェのような美しい芝生の庭を作るぞ!」と、キラキラした夢を抱いていたわけです。
ところが、現実はそう甘くはありませんでした。
おしゃれな芝生の庭、という幻想を一旦置いてみる
更地になった庭を眺めながら、私はスマートフォンの画面をスクロールしていました。検索画面には「DIY 芝生 張り方」「おしゃれ 庭 メンテナンス」といった言葉が並びます。
しかし、調べれば調べるほど、肩が重くなっていくのがわかりました。 まず、芝生そのものを買うためのお金が、この広い庭の面積分となると、ちょっと笑えない金額になります。さらに、下地をきれいに整え、目土を入れ、毎日こまめに雑草を抜いて……という手順を読んでいるうちに、「あ、これは私には無理なやつですね」と、早々に心が折れる音が聞こえてきました。
古民家のリノベーションは、家の中だけでも手一杯です。庭にまでそこまでのお金と情熱を注ぐ余裕は、今の私にはありませんでした。
かといって、このまま放っておけば、数ヶ月後には背の高さまである「緑のジャングル」に逆戻りするのは目に見えています。 「芝生は無理。でも、ジャングルは嫌だ」 そんなわがままな悩みを抱えながら、私は近所の公園を散歩していました。
そこで、ふと立ち止まったのです。

なぜ公園の草はあんなに「ちょうどいい」のか?
公園の地面を見てみると、そこには当然のように緑が広がっています。もちろん、高価な芝生が植えられているわけではありません。いわゆる「雑草」と呼ばれる草たちが、ごく普通に生えています。
でも、不思議だと思いませんか? 公園の草は、うちの庭を占拠していたあの凶暴な草たちと違って、背が低くて、なんだか心地よさそうに地面を覆っているのです。
「なぜ、ここはちょうどいい感じなんだろう?」
じっと観察していると、一つの共通点に気づきました。公園の草は、たいてい踏まれています。毎日ではなくてもある程度の頻度で。
そして、我が家のコンクリートの際(きわ)には、とても密度が高くて、踏んでもへこたれない、まるで絨毯のような草が生えています。
「……これ、うちの庭にも使えるんじゃないでしょうか?」
わざわざ高い苗を買ってこなくても、この「踏まれても平気な、背の低いエリート雑草」を我が家の庭に招き入れれば、タダで素敵な庭になるのではないか。そんな、名付けて「雑草芝大作戦」が、私の頭の中で勝手に動き出しました。

AIが教えてくれた「踏みつけの美学」と、相棒たちの活躍
とはいえ、ただ草を眺めているだけでは庭は変わりません。 そこで、AIに相談してみる。
「庭を芝生じゃなくて、今ある雑草で覆いたいんだけど、どうすればいい?」と。
返ってきた答えは、驚くほどシンプルで、そして体育会系なものでした。
「踏まれても強い種類の草を移植し、ひたすら踏みつけてください。そして、水をたっぷり与えてください。そうすれば、上に伸びるのを諦めて、横に広がっていきますよ」
なるほど、植物に「ここは上に伸びちゃダメな場所なんだ」と、身をもって理解してもらうわけですね。なんだか少し申し訳ない気もしますが、背に腹は代えられません。
早速その作業をやってみます。

私の腰と心を支えた「かつての相棒たち」
今日の作業を終えて痛感したのは、道具のありがたみです。今回、新しく買い揃えたわけではなく、以前から持っていた道具たちなのですがおもった以上に役立ってくれました。
まず一つ目は、以前Amazonで購入したショベルです。 移植というのは、地味な作業の繰り返しです。コンクリートの隙間から、根性のありそうな密度の高い草を根っこごと掘り起こし、それを更地の真ん中に植え替える。この「掘って、埋める」という動作を何百回と繰り返すのですが、手になじむショベルがないと、あっという間に手のひらがマメだらけになります。重すぎず、でも硬い地面にも負けない。かつて「いつか使うかも」と思って買ったあの子が、今日、真のヒーローになりました。
わが家は耕作放置の場所なので、かなり堅めの地面ですが、少なくともこのショベルに関してはアマゾンのレビューに書いているように切る刺す掘るが問題なくできますし、何より丈夫なのでてこの原理で重さを書けても壊れる気配もなくかなりおすすめ。
そして二つ目は、長い長いホースリールです。 我が家の庭は無駄に広いので、普通のホースでは到底届きません。AIが言う「たっぷりの水」を届けるためには、庭の端から端まで歩き回れる長さが必要でした。 この長いホースを引きずりながら、植え替えたばかりの草たちに水を撒く。その瞬間だけは、なんだか自分が立派な庭師になったような、そんな錯覚をさせてくれます。
わが家はタカギのホースリール使っています。
基本的に伸ばしたら伸ばしっぱなしにしていますが、収納するときもレビューにあるように非常にしましやすいです。
おすすめ
ちなみに蛇口はこれ使ってます。ホースリール使ってるときにめんどくさいのが、蛇口で手を洗おうと思ってもホースリールをたいてい伸ばしきってるのでその場で洗えない問題です。毎回しまえばいいだろという話ですがそんなめんどくさいことはできません。
これだったら最初からホースリール用と蛇口用に分かれているし、ホースリールもワンタッチでつけられるようになってるので便利です。
効果があるかわからない移植作業
さて、移植を終えたわが家の庭は、遠目に見るとただの「茶色い土の上に、点々と緑の泥の塊が置かれている」という、なんとも言えない光景です。 オシャレなカフェ風の庭を目指したはずが、どう見ても「泥遊びの跡」にしか見えません。おかしいですね…、頭の中のシミュレーションでは、もっとこう、整然としたグリーンのドットが並んでいるはずだったのですが。
でも、最後に自分の足で、移植した草たちを力いっぱい踏みしめていると、不思議と愛着が湧いてくるものです。
「君たち、今日からここで頑張るんだよ。上に伸びちゃダメだよ、横に広がるんだよ」
そう声をかけながら(端から見れば、ただの怪しい住人ですが)、私はたっぷりと水を撒きました。
この「雑草芝」が本当に地面を覆ってくれるのか、それとも春先になって「やっぱり全部ただの雑草でしたね」と笑うことになるのか。結果が出るのはもう少し先ですが、それもまた、古民家暮らしの醍醐味だと思って楽しみに待つことにします。
