契約から工事開始まで
契約書へのサインとその雰囲気
契約書へのサインは、前回の記事で触れた売主との顔合わせのタイミングで行われました。
顔合わせが終了して他の人は帰宅し、そのあと自分たちが残って書類にどんどんサインをして行くという流れです。
「ここに名前、ここに住所、ここにハンコ」と、ひたすら書いて押すだけですが、ここにサインをしたことで明日から早速数千万円の借金を抱えた人間が誕生するわけで。
古民家ということもあってか、「建物は現況で引き渡しとし、買主は損傷や不具合について異議を唱えないものとする」みたいな文言も入っていて「ほえー」と思いつつ。
買うと決めていたとはいえ、「なんかあっても文句は言えない」っていう内容にハンコを押すのは、やっぱりちょっとドキドキしました。
「え、これまだ紙でやるの…?」というツッコミも心の中にはありつつ特にトラブルもなく契約書にサインは終了。
引き渡し当日から工事開始まで
「契約=すぐに引き渡し」だと思っていた私。
実際は、登記の関係や農地の調整などがあって、契約から引き渡しまでには数週間ほどかかりました。
契約後、「よっしゃDIYやるぞ!」と思っていたんですが、現実はそんなに甘くなかったです。
というのも、契約から引き渡しまでの間って、名義がまだ自分になっていないわけで、大がかりな作業はできません。勝手に壁を壊したり、床をはがしたりするわけにもいかない。
もちろんやってもいいけど一応自分の名義にはなっていないので、何もないとは思うけど何かあったらって感じで、できることと言ったら片付けくらい?
まぁどちらにしろ日々の仕事・子育て・引っ越し準備に追われていて、時間も気力も残っていないんですけどね。古民家を買うとなった場合は同時に移住もする人が多いと思うので、中々そのあたりは大変です。
そしてとうとう引き渡し当日。ついに私も古民家を手に入れたぞ!
みたいなテンションもなくヌルっと終わる。特別なセレモニーはなし。工務店の担当者から「今日からリノベーション工事を開始できますんでー」とLINEが来た。それだけです。
鍵の受け渡しも特になくて、工事用の鍵はすでに工務店側が管理していたので、実質こちらがやることはありませんでした。
みんなこんなもんですか?
住宅ローンをめぐるドタバタ
農協の審査普通に落ちた
住宅ローンについては、事前情報から「うまくいくか怪しいな」とは思っていました。とりあえず仕事の関係で付き合いがあったので地元の農協(JA)に仮審査を出してみたのですが…普通に落ちました。
こっちは資格もあって正社員でしっかり働いているのにです。
理由は明確に伝えられてはいませんが、おそらく「古民家だから」です。耐震性能はゼロ扱いになるし、土地の価値も市街地ほど高くない。金融機関からすれば、どう考えてもリスクの高い案件です。
古民家好きとしては「魅力的な物件」なんですが、金融の世界では全然そうじゃないんだなと。
個人的には今後古民家の価値自体はどんどん上がっていくと思うので、本当に欲しい人は今のうちだと思います。
工務店の紹介で提携銀行へ
JAがダメだったので次はネット銀行も視野に入れていたのですが、JAでダメなのがネット銀行なんてもっとダメだろうと思って申し込みすら行わず。
このまま詰みか…、というタイミングでZ工務店に相談し提携銀行を紹介してもらいました。
銀行とのやり取りは大体工務店側が行ってくれたので非常にスムーズに進みました。
あらためてまとめておくと、古民家が住宅ローンに通りにくい理由は大きく3つあります。
- 構造的に耐震性能がゼロと評価されることが多い
(面心構造という「揺れを逃す」考え方は、ローン審査では加点されません) - 土地の評価が低く、担保価値が出にくい
(田舎の土地は立地的にどうしても評価が厳しくなる) - 建物自体の資産価値がつきにくい
(古すぎて建物としての評価がつかない)
私は正社員で国家資格も持っていて、それなりに収入も安定していましたが、それでも一度落ちています。「正社員なら通るでしょ」と思っている方、古民家は別物ですので、注意が必要です。
最近では一部地域(九州など)で古民家専用の住宅ローンも出てきていますが、全国的に見ればまだまだ一般的ではありません。そういう意味でも、最初から古民家に理解のある工務店とつながっておくのは大事だなと思いました。

※金利や借入金額、返済期間などの詳細については、私の個別事情や契
約内容が含まれるため、公開は控えます。興味がある方には、将来的にnote等で限定公開を検討します。
古民家購入と移住と住宅ローン
ちなみに古民家の場合、私もそうだったのですが本気で探すとなると移住も視野に入れた探し方になってきます。幸運な人は近くの移住で済みますが、人によっては県外移住も視野に入れてる人がいます。それだけ母数がないからです。
普通の探し方がどういったものかは正直わかりませんが
- 仕事場や子供の関連施設で土地を探す
- 売り出された土地or分譲地を見つける
基本的な新築の場合はこの流れかと思います。
古民家の場合、どうしても母数が少ないため良い物件を見つけようと思った場合、自分の住んでいる地域外へも視野を向ける必要がありますが、そうなった場合に問題となるのが上記の住宅ローンです。
当然正社員○年以上という縛りが多くの銀行では発生するため、古民家購入と移住(転職)を両方一緒にやる場合は注意が必要です。
- 古民家を見つける
- 住宅ローンを申し込み、最終融資まで終わらせる
- 移住&転職
この流れでないと詰みます。お金が有り余ってる富豪を除いて、当然のことですがとにかく正社員を辞めない
参考程度に
ちなみに、いきなり古民家購入に関してはリスクも高いため、個人的には以下のような方法がおすすめというか1つの案として提案します。私自身も最初は以下の方法を行おうと思っていました。結局私の場合は諸々の諸事情によって実施できませんでしたが、私の売主さんは了承してくれました。
- 古民家を見つける
- 定期借家で賃貸としてその物件を(1年or2年程度)借りる
- 物件が良かったらそのまま購入する
場合によっては、賃貸として払ったお金は本体価格から差し引いてもらうよう交渉する - 古民家生活が合わなかった場合はそのまま賃貸を終了する
この方法のメリットデメリットとしては以下の点があります。
メリット
- 購入後の「こんなはずではなかった」というギャップ解消ができる
- 不確定要素の多い古民家において、実際に住んで体験できることはでかい
- 交渉次第で会社の家賃補助や市が提供している移住支援のための家賃補助が使用できる
- 古民家が残っているような市の場合、調べたらたいてい家賃補助も行っていることが多いため、うまく活用できればまとまった額の手助けが受けられる
デメリット
- そもそもそんなお人よしの方がいるのか問題
- 売主との信頼関係がなければ対応してくれない
- 売主側からしたらデメリットばかりの提案で、最悪「なんだこいつ」となりかねないため、交渉を開始する際には慎重に始める方が吉
- 場合によってはこの提案を受け入れてもらうために多少割高の家賃くらいは許容したほうがいいかも
- DIY含めた賃貸中のリフォームは難しい
- 交渉次第で賃貸中にできないこともないですが、もしリフォームをしたいのなら購入してからやりましょう
デメリットとはまた違った話になりますが、よく(?)ある話として、最初は貸してくれていたけど、古民家がきれいになったとたんに契約を破棄して一方的に返せという話もないわけではありません。「そんなの最初から契約書に文言入れてたら回避できるだろ」と思うかもしれませんが、そういったわけのわからない人から古民家を買えますか?そういったある意味無敵の失うもののない人かもしれない人から無理やり古民家を買ってそこに住めますか?そこに家族を住まわせることができますか?私はできません。売主から信頼されるのもそうですが、売主側の人となりもしっかり見極めてから提案しましょう。



いろいろ書きましたが、やりようはいくらでもあります。ただ、お金が絡むと非常にややこしくなる可能性も大いにあるため、とにかく人柄はめっちゃ大事です。
まとめと次回
以上が、契約書へのサインから住宅ローンの審査、そして引き渡しが完了するまでの大まかな流れです。
古民家だからこその“ローンの壁”は、自分で考えている以上に慎重に考えていたほうがいいと思います。
そして、こうした手続きや不安に向き合う中で、工務店の担当者がそばにいてくれたことは本当に心強かったです。不動産会社や司法書士が中立であるのに対して、「買う側の立場で動いてくれる人」がいるのは、精神的にも大きな支えになります。
てことで次回からは実際のリノベーション工事について記載していこうと思います。
古民家リノベーションブログってやっぱりこの辺がメインだと思うので、できるだけ思い出しながら詳細に書いていければと思います。
思い出しながらなので、時系列が若干めちゃくちゃになる可能性もありますが暖かい目で見てください。